肩こりがひどくなると感じる頭痛について
肩がこるだけでも時に集中力までも削がれますが、併せて頭痛や吐き気、めまいまで感じるようになると日常生活そのものにも支障が出るようになるでしょう。
今回は、肩こりがひどくなると感じる吐き気やめまい、頭痛は何なのか、原因や鎮め方を見ていきましょう。
肩こりと頭痛
頭痛を引き起こす疾患は軽い疾患から重いものまで様々ありますが、肩こりが引き金となって起こる頭痛は「片頭痛」、「緊張型頭痛」のどちらかがほとんどです。特徴に違いがあるので、それぞれの頭痛の特徴を以下に挙げてみましょう。
片頭痛
- こめかみから目のあたりが心臓の拍動に合わせるようにズキンズキンと痛む
- 片側だけでなく両側の場合もある
- 体を動かして頭の位置を変えると痛みが増幅する
- 日常生活も送れないほど痛みがひどい時もある
- 吐き気、嘔吐、下痢などを伴う
- 光や音、におい、気圧と気温に敏感になる
- 一旦痛み出すと2〜3日続くことがある
緊張型頭痛
- 午後から夕方にかけて、目の疲れや倦怠感と一緒に痛み出す
- 後頭部から首筋を中心に頭全体が締め付けられるように痛む
- 吐き気や嘔吐などはない
- 痛みながらも日常生活を送ることはできる
片頭痛や緊張型頭痛を感じる原因
片頭痛は20〜40代女性に多くみられる頭痛で、程度がひどくなると日常生活を送るのも困難になります。 詳しい発生メカニズムは未だに解明されていないようですが、脳・頭部の血管が拡張することで引き起こされる頭痛(+吐き気、嘔吐など)だとされています。拡張した血管は、そのそばに三叉(さんさ)神経と呼ばれる顔面全体の知覚を脳に伝える神経があって、その三叉神経を刺激し頭痛その他の顔・頭部の違和感を引き起こします。
片頭痛を引き起こす血管拡張の原因にはさまざまな要素が挙げられています。 急激な気圧・気温の変化や、騒音、強く明滅する光、人混み、睡眠不足や睡眠過多、疲労などなど。ストレスから解放された時にも血管拡張が起きるようです。現代生活ではどれも身の回りで常に経験していそうなものばかりですね。 さらに女性には気になる原因として、女性ホルモンの一つエストロゲン量の変化もあるそうです。エストロゲン分泌量が減少する排卵時や、他に生理の数日前から月経期にかけて片頭痛が起きるようです。
原因のおまけ。チョコレートやピーナッツなど特定の食品も片頭痛のきっかけになると言われているようです。仕組みは不明だそうですが、予防のためおやつのメニューに見直しが必要かもしれません。
緊張型頭痛の場合は、文字通り、頭、首、肩の筋肉が緊張することで引き起こされる頭痛です。持続的な筋肉の緊張で筋肉は血行不良の状態になり、筋肉内に老廃物が溜まって神経を刺激します。中でも側頭筋、後頚筋、僧帽筋の緊張やコリが頭痛を引き起こしやすいようです。
緊張型頭痛の原因の多くは精神的、肉体的ストレスです。また筋肉の緊張ではなく、精神的緊張や不安、うつ病など精神的不調や心の病が原因となる「緊張型頭痛」もあります。
「緊張型頭痛」は「片頭痛」と併せ持つ人もいます。
片頭痛や緊張型頭痛の対処法
自分でできる片頭痛の対処法を紹介します。
- 患部を冷やす。 冷水または常温の水で濡らしたタオルや冷やした缶・ペット飲料を患部に当てて冷やします。拡張した血管が冷感で収縮し、痛みが軽減します。マッサージや入浴は血管が拡張するので、片頭痛軽減には逆効果です。
- 静かな暗い場所で休む。 光や音、においの刺激でも頭痛は増幅し、また頭の位置が変わるだけでも痛むので、暗くて静かな場所に移動し横になって休みましょう。
- カフェインを適量摂取する。 コーヒー、紅茶、日本茶に含まれるカフェインは血管を収縮させる効果を持つので、痛みはじめの早期に適量を飲んでみましょう。あくまで適量で、多量摂取は禁物です。
緊張型頭痛の対処法は、
- 温めてコリをほぐす。マッサージ、ストレッチ、蒸しタオル、半身浴などが有効です。
- 気分転換をする。作業を中断したり、今いる場所から身を遠ざけます。
肩こりに伴って現れる頭痛は以上のような対処法をとることで、だいぶ軽くなるでしょう。肩こりの自覚はないけれども頭痛には良く悩まされているという方も、一度試してみてください。
吐き気やめまい、頭痛で医療機関を受診する
上記の対処法でもほとんど効果を感じないようであれば医療機関を受診してみてもいいでしょう。原因がわからず診療科目に悩んだら、内科やかかりつけ医療機関で相談しましょう。
その時、頭痛の記録があると症状や状態を伝えやすくなります。 光や音がうるさく感じた時や場所、摂った食事、飲んだ薬、睡眠時間、10段階で表した頭痛レベルなどをカレンダーや手帳に書き込んでおきます。女性であれば月経周期も書き加えておくといいでしょう。
その他の頭痛
頭痛や吐き気、めまいなどを、いつも肩こりから生じるものだと決めつけてその他の病気を見過ごしてしまわない様、その他の頭痛もいくつか紹介しておきます。
後頭神経痛
頭全体やこめかみ周辺ではなく、後頭部を中心に痛みが出ている場合は後頭神経痛の可能性もあります。 症状として、次のようなものがあります。
- 耳から後頭部、頭頂部にかけての範囲や耳の後ろ側が痛む、
- 痛みがないときでも違和感やしびれ感がある、
- 痛みはチクチク、キリキリ、ズキズキと感じるもの、
猫背や長時間のパソコン作業、肩こりを持っていると出現しやすいようです。
帯状疱疹
ヘルペスウィルスによって神経に沿って水泡ができて痛む病気です。全身のどの神経にも出る可能性があり、頭部も例外ではありません。この場合の痛みはピリピリとした痛みですが、水泡ができる前から痛みや違和感だけが出る場合もあるそうです。
重篤な結果をもたらす脳血管障害、髄膜炎、脳炎も
- 一瞬で0から100までレベルアップする頭痛、
- 意識もおかしい、しびれや麻痺などで今まで当たり前にできていたことが困難になる、
- 嘔吐する、
などの症状から始まります。頭痛、吐き気、めまいがいつものレベルをはるかに超えていると思った時は注意してください。
まとめ
肩こりからくる吐き気やめまい、頭痛は疲労や身体的・精神的ストレスが相当量蓄積されていたり、健常な体では気にならない光や音の刺激に過敏に反応したりして発生します。現代生活には欠かせないパソコン・スマホの画面も目には強い光刺激なので明るすぎない設定にしておきましょう。
頭痛に加えて吐き気、めまいまでも出てしまった時には、頭痛を感じる部分を冷やしながら静かで暗い場所へ移って、横になり休みましょう。
症状が軽くなったらまたすぐ元の環境に戻る、を繰り返しているといつまで経っても頭痛に悩まされ続けます。頭痛の記録ノートなどを作って、自分なりに、またはお医者さんの力を借りて再発がなくなるように自分の生活環境を見直しましょう。