肩こりがつらいとき、塗布薬で緩和される?

薬局に行くと肩こりや腰痛向けの湿布や塗布薬(塗り薬)がたくさん並べられてますね。これらを使って肩こりが楽になるという人もいれば、全然効かないという人もいます。

今回は肩こりの症状を緩めたいとき塗布薬を使うことは有効なのか、良い点と注意点をみていきましょう。

塗布薬の種類

塗布薬とは体に塗る薬ですが、成分や状態の違いによっていくつか種類があるようです。

軟膏

基材(薬剤などを混ぜる材料)にワセリンなど油脂性の材料が使われています。あまり伸びは良くなくて、ベタベタとした塗り心地のものです。水で洗い落としにくい性質があり、欠点でもありますが、それだけ皮膚や患部を保護する能力が高いとも言えます。皮膚に対する刺激性も少ないのでジュクジュクした患部にも塗ることができます。

クリーム

水と油を混ぜ合わせて乳化したものを基材とするのがクリームです。伸びが良くて、ベタつき感もありません。薬効成分の皮膚への浸透度は高いです。皮膚刺激性があるので傷があるような部分には適しておらず、水や汗で流れてしまいます。

ローション

水やアルコールが基材になっています。これまでの中で最も伸びがよく、最もサラサラした使用感です。即効性がありますが持続時間は長くないので物足りなさを感じるかもしれません。ローションも刺激性があるので傷があるような部分には適しません。

ゲル(ジェル)

基材は水性のものが主です。これもクリームより伸びがよく、素早く乾燥するのでベタつくこともありません。一般的にはアルコールも含まれていて、ローションと似た特徴を持っていると思います。

塗布薬の使い分け

「◯◯軟膏」や「◯◯クリーム」、「◯◯ローション」というように商品名の◯◯部分が同じだったりして、「何が違うん?」と困惑されていることでしょう。薬剤は同じで基材が違うのです。

薬剤が同じでも、基材の性質の違いで使い方に適不適ができてしまいます。基材の性質をうまく利用して塗布薬を有効活用するには、患部の状態と場所で使い分けます。

  1. 軟膏は伸びにくくて、ベタベタ。保護能力が高くて、皮膚を刺激しない。
  2. クリームは伸びが良くてベタつき感がない。水や汗で流れる。皮膚に刺激性がある。
  3. ローションとゲルはサラサラ感がある。持続時間は短く、皮膚に刺激性がある。

これらの特徴を踏まえて、皮膚刺激性は大丈夫か、水や汗で流れても構わないか、衣服に転写しないか、で使い分けます。

肩こり

肩こりは肩や首の筋肉が働き続けて血行不良に陥っている状態です。肩が固まった感じになり、肩こりを感じるようになります。さらに血行不良が続くと、血行不良の場所で発痛物質が生成され、肩こりに痛みも伴うようになります。

塗布薬の利点と注意点

塗布薬の主な薬効は鎮痛作用です。発痛物質を分解・除去する効果があります。貼付薬や内服薬でも鎮痛薬は同じ作用ですが、塗布薬を使う利点と注意点は次のようなことです。

塗布剤の利点

  1. 貼付薬では肌が負けてしまう方にも使える。
  2. 動きがあって貼付薬だと剥がれてしまうような関節部分にも使える。
  3. スティックタイプだと、手の届きにくい背面などにも塗ることができる。
  4. 薬剤の浸透は塗布部分に限られる。

塗布剤の注意点

市販されている鎮痛薬の成分は非ステロイド性消炎鎮痛薬が現在の主流です。インドメタシンやフェルビナクなど宣伝でも良く聞く成分もこれに含まれます。

非ステロイド性消炎鎮痛薬は、内服によって全身を巡ると、特定の持病、疾患を持つ方に対して副作用の心配も出てきます。

塗布薬では薬効成分は塗布した患部にしか届きません。内服薬のように全身に回ることはないので、過度に心配する必要はありません。

ただ、持続時間が短いローションタイプ、ゲルタイプを使って頻繁に塗り重ねることは控えておいたほうがいいでしょう。

まとめ

痛みの種類や程度によって、塗布薬も肩こり症状の緩和にある程度効果を発揮してくれそうです。商品によって薬剤の量や種類が異なっているので、いくつか試してみるのもいいでしょう。ご自身にあった塗布薬が見つかるかも知れません。